園芸学会雑誌
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トウガラシにおける辛味成分のヘテローシス表現と組合せ能力
朴 載福高橋 基一
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1980 年 49 巻 2 号 p. 189-196

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抄録

カプサイシン含有量の異なる3品種とそれらのF1系統を供試し, 果実の発育中のカプサイシン含有量の消長を追究した.‘伏見甘長’は終始0.1%以下の低率で経過し, カプサイシン含有量には目立った消長はみられなかった.‘鷹の爪’と‘Punggak’では, カプサイシン含有量は開花後4又は5週目まで急上昇し, その後漸減して, 完熟期にやや上昇した. F1系統のカプサイシン含有量は両親の中間的なパターンで変化したが,‘伏見甘長’と‘鷹の爪’とのF1系統では‘伏見甘長’への片寄りが認められた.
赤熟果におけるカプサイシン含有量について, 親品種のF1系統に及ぼす遺伝的効果を6品種を用いたダイアレル分析法で解析した. 親品種の平均値と全F1系統の平均値とでは, ほとんど差異はなかったが, ドミナンスの方向やヘテロシスの程度は組合せによって異なった. ヘテロシス効果の解析から変異の主要因は一般組合せ能力に基づくことが認められた.
更に上記の6品種とそのF1系統において, 果実の平均新鮮重とカプサイシン含有量との間に有意な負の相関が認められた.

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