抄録
収穫後, 常温流通する青ウメの鮮度保持をはかるため, 包装及び果実由来の包装内エチレン除去の効果について検討した.
1. 青ウメは, 収穫後22°Cにおくと, 3~4日目にはその一部が黄化し始め, 以後は急速に黄変した. また果実成分は, 糖分が減少する一方, 主たる有機酸であるクエン酸は, 黄化が始まるまでは増加し, その後は減少する傾向を示した.
2. 収穫した青ウメは, クライマクテリック型の呼吸を行い, そのピーク時には大量のエチレンを生成した. 青ウメを収穫後ただちにポリエチレン包装し, 包装内の酸素濃度を4~5%以下として呼吸を抑制すると, 無包装に比べ, およそ2日程度鮮度保持期間が延長された. しかし, 酸素濃度が0.5%以下となるような包装条件は, 果実に代謝異常やそれに伴う障害を発生させることから不適当と思われた.
3. 適切な変成ガス環境が得られる包装を行い, エチレン除去剤を用いて包装中に果実から放出されるエチレンを除去すると, 青ウメの追熟の開始は遅延された. その結果, 包装だけの場合に比べ, さらに2日程度の鮮度保持期間の延長が可能となった.