園芸学会雑誌
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タマネギの低温感応による花芽形成に対する植物生長調整物質の影響
宍戸 良洋斎藤 隆
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1984 年 53 巻 1 号 p. 45-51

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抄録
タマネギ‘札幌黄’を供試し, 低温処理による花芽形成に対する各種生長調整物質施与の影響を明らかにした.
1. 苗の生長に対しSADH (2,000ppm) はやや抑制的であり, エセホン (500及び1,000ppm) は著しく抑制的であった. また生長抑制の度合が強いほど花芽形成に対して抑制的に作用した. 一方, GA (100ppm) は葉数の増加を促進し, 花芽形成に対しても促進的に作用した.
2. 花芽形成に要する低温処理日数は, 葉鞘径10mm前後の大苗では約20日で, GA施与によっても短縮されなかった. 一方, 葉鞘径7mm前後の中苗の所要低温処理日数は40~50日であり, GA施与により約20日間短縮された.
3. GAによる花芽形成の促進は, 低温処理前及び処理中に施与された場合にのみ認められ, 低温処理後の施与では認められなかった.
4. GAの花芽形成促進効果は, GAの低温に対する代替作用によるものではなく, むしろGA施与に伴う生長点部の生理活性の増大が低温感応に対する反応速度を増大させることによるものと推論した.
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