園芸学会雑誌
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ドリティス (ラン科) の胚珠及び子房培養による, 受粉から幼植物を得るまでの期間短縮
安木 三郎
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1984 年 53 巻 1 号 p. 52-58

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抄録
従来, ランの胚あるいは子房培養により幼植物を得るには, 受粉•受精後の胚, あるいはそれを含む子房を無菌培養するという方法が行われてきた. それは, ラン科植物では一般に, 受粉後に胚珠形成が開始されるためと, 受粉後で受精前の胚珠を培養する場合, 試験管内受精させる必要性があるためである. また, 一般にランでは, 受粉から受精まで数ケ月を要する.
本実験では, ドリティスを用いて, 受粉後20, 40, 60日目の未発達な胚珠, あるいは胚珠を含む子房をそれぞれ無菌培養し, 幼植物を得ることに成功し, ランの種子繁殖で最も一般的に行われている完熟種子の無菌培養法と比較して, 受粉から幼植物を得るまでの期間が約150日短縮された. また, 受精前に胚珠または子房の無菌培養を開始しても, 受粉していればランの幼植物 (2n) が得られ, 受精が培養中試験管内でも起こり得ることが分かった.
子房培養の場合, 受粉後40日目の子房を材料とし,1.0ppm NAAを含む培地を用いることにより安定して多量の幼植物が得られた. 子房は滅菌後両端をナイフで切り取り, 先端 (花弁の付いていた方) を下に向けて培地に置床した. 胚珠培養の場合, 子房を切り開き, 胚珠を取り出して材料とした. 受粉後60日目の胚珠を10ppmNAA, あるいは10ppm BAとココナツ溶液25%を含む培地で培養することにより多くのプロトコーム及び幼植物が得られた. また胚珠培養の場合, 幼植物を多量に得るには, ココナツ溶液 (35%) かショ糖 (2%) が不可欠であることが分かった.
本実験により, ドリティスにおいては, 受粉後60~65日に受精が起こるが, それより前の受粉後20, 40, 60日目の子房, あるいは胚珠を培養することにより幼植物が得られることが確認された.
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