園芸学会雑誌
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低温とポリエチレン袋密封包装によるニラの鮮度保持
石井 勝大久保 増太郎
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1984 年 53 巻 1 号 p. 87-95

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抄録
周年出荷が要望される中で, 高温時期に黄化や腐敗の発生が問題となるニラについて, PE(ポリエチレン) 袋による密封包装を併用した予冷出荷による鮮度保持について検討し, 以下のような結果を得た.
1. 黄化や腐敗の抑制に対して低温の効果が高いこと, また高温下でのこれらの抑制に対してPE袋密封包装の効果が高いことが明らかになった.
2. 呼吸の抑制及びクロロフィル, 還元型ビタミンC, カロチンの各含量の減少抑制に対しても, 同様に低温とPE袋密封包装の効果が高いことが明らかになった. ただし, 還元型ビタミンCの減少抑制に対するPE袋密封包装の効果は, ガス障害 (葉先きを中心に脱水したような凹みができ, 異臭が発生し, やがて発酵した状態を呈すようになる) の発生のみられる条件下では認められなかった.
3. 高温下でのPE袋密封包装では, ガス障害がみられたが, この障害の発生は, PE袋に数個の針穴を付けることで防止できた. しかし, 実際の流通 (PE袋包装-予冷出荷) ではそれほど長時間高温にさらされることはないと考えられること, 若干の異臭は実用上あまり問題でないこと, さらに針穴を付けることはPE袋包装による黄化や腐敗の抑制効果を減じることなどを考え合わせると, 特に異臭が問題となる場合以外には, 密封包装-予冷出荷システムが望ましいと考えられた.
4. 以上の検討結果や実用面の検討結果などに基づき, 約110gの束としたニラ10束をPE袋 (厚さ約0.025mm, 大きさ約30×45cm) に密封包装後, 4袋ずつ段ボール箱に縦詰めして強制通風冷却し, 保冷輸送する出荷システムを確立した. この出荷システムは,PE袋密封包装によるMA効果 (modified atomosphereeffects) がかなり大きいため, 冷却速度が若干遅くとも, また輸送中の品温上昇がある程度大きくとも鮮度保持効果が高く実用的であるため, 多くのニラ産地で利用されるようになってきている.
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