霊長類研究 Supplement
第39回日本霊長類学会大会
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口頭発表
ゴリラのナックルウォーク分析のための三次元動作計測システムの構築
伊藤 滉真田中 正之吉田 信明荻原 直道
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p. 28

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抄録

アフリカ大型類人猿はナックルウォーク(KW)と呼ばれる特殊な四足歩行を行う。ヒトと生物学的に最も近縁なアフリカ大型類人猿が、なぜKWを進化させたのかを明らかにすることは、ヒトの常習的直立二足歩行の進化を考える上で重要な示唆を提供する。しかし、アフリカ大型類人猿のロコモーション研究はその希少性・危険性から極めて困難であり、その詳細は必ずしも十分明らかになっていない。このため本研究では、ゴリラを対象として、KW分析のための三次元動作計測システムを構築することを目的とした。京都市動物園の4頭のゴリラが日常的にKWする屋外ゴリラ舎の梁の上に、6軸ロードセルを用いて製作した無線式床反力計を設置した。また、その床反力計を取り囲むように4台のビデオカメラをゴリラ舎ガラス窓外側面に設置した。撮影した動画から、深層学習によるオートトラッキングツールを用いてKW中のゴリラの関節位置を自動抽出し、三角測量の原理に基づいて歩行中の全身三次元運動を定量化することを可能とした。これにより、ゴリラKW中の身体三次元運動と前肢に作用する床反力の同時計測が可能となった。構築したシステムを用いてゴリラKWの運動データを収集し、未だ明らかになっていないアフリカ大型類人猿のKWの詳細な運動学・動力学メカニズムを明らかにしていく予定である。

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© 2023 日本霊長類学会
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