抄録
メロンを養液耕で栽培し, ステージI (定植時から受粉時), ステージII (受粉時から果実ネット発達期), ステージIII (果実ネット発達期から収穫時) の全期間又はある一定期間の海水希釈液処理が, 収穫時の生育 (実験I) と各ステージ終了時の生育 (実験II) に及ぼす影響を調査した.
実験I 全植物体乾物重と果実新鮮重は, 海水希釈液の処理期間が短くなるにつれて増加し, 海水濃度が増すにつれて減少する傾向を示した. ステージIにおいて海水希釈液処理をしたメロンを, ステージII及びIIIにおいて基本培養液で育てた場合, 果実新鮮重は増加したが,葉中 Cl, Na 含量は海水希釈液の影響を受けなかった.処理期間が短くなるにつれて, 葉中 Cl, Na 含量は低下した.
実験II 生育に及ぼす海水希釈液の影響は, 概して生育の進行及び処理期間の減少につれて小さくなった. ステージIIIにおける海水希釈液の処理は, 全植物体乾物重と果実新鮮重を減少させたが, 葉•茎•根の合計乾物重には影響を及ぼさなかった. 果実の塩辛味は, 処理期間が長くなるにつれて増加した. 収穫時の葉中 Cl, Na 含量は, ステージIIIで海水希釈液の処理をした場合に高かった. 葉の浸透ポテンシャルは, 概してそれぞれのステージにおける培養液の浸透ポテンシャルと比例的関係にあった.
以上の結果, メロンの耐塩性の指標として全植物体乾物重を用いた場合には受粉時までの生育期(ステージI)が, 果実新鮮重及び品質を用いた場合には果実発達期(ステージII, III)が, 塩類処理に最も敏感であった.