園芸学会雑誌
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気象要素と果実品質変動の関係とカンキツの適地性について
岩崎 直人大垣 智昭岩政 正男松島 二良石畑 清武
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1986 年 55 巻 2 号 p. 153-168

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抄録

わが国のカンキツ生産各地における気象要素, すなわち温度, 降水量, 日照, 日射と主要な中晩生カンキツの果実品質値とを調査もしくは収集し, その間の回帰並びに重回帰解析を行うことによって, 良好な品質の果実生産地の気象要素の範囲を知ろうとした.
温度は果実品質変異に最も影響するが, なかでもクエン酸含量, 甘味比, 果汁pH, 果皮厚, 果肉率, 果形指数, 果重が変異し, 温度に関する測定項目としては, 年及び4~11月の平均温度, 有効積算温度の影響が強い.
雨もまた, 果実品質に有意な影響を与えることを見出したが, とくにクエン酸に, 果実発育, 成熟の時期別の降水強度によって相矛盾した結果が現れる.
果実品質中,果汁の Brix はクエン酸や甘味比ほど気象要素に感応しない.
各果実品質項目を従属変数として各気象要素を独立変数とする重回帰は5式得られた. また, 得られた単回帰式と重回帰式から, 良好な品質の各中晩生カンキツ果実の得られる気象要素の範囲を提示した.
4大学連絡調査結果 (1981~1983) から, 月平均温度, 月日照時数及び月日射量との間に高い相関があり, 回帰関係が成立する. 光合成能と日射量との関係から考えて, 有効積算温度と同様に有効積算日射量による適地判定が考慮されなければならない.

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