1986 年 55 巻 2 号 p. 169-173
アルギニン代謝に関係するグアニジノ化合物について, リンゴ, モモ, ビワ及びカキの5月上旬における1年枝及び新梢に含まれる種類及び量を調べた. ミカンについては各器官の3月から7月にかけての, また種子及び種子発芽後3週間にかけての消長を調べた. 調べたすべての果樹よりGSA, CT, GAA, AARG, GPA, GBA, ARG, GBAD, G及びMGの存在が確認された. しかしCTN, HARG及びAGMは確認できなかった. これらの他に20種以上の未確認グアニジノ化合物が検出された. ミカンの各器官及び幼植物におけるGBAD, GBA, GAA, AARG, CT, G及び多くの未確認グアニジノ化合物の消長はARGのそれに類似した. これらの結果は, ARGの代謝経路の中にGBAD, GBA, GABAを経由する経路が果樹に存在することを示唆すると同時に, 多くのグアニジノ化合物を含んだ他のARG代謝系の存在をも示唆する.