園芸学会雑誌
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ハッサクコハン症の発生と果皮のアスコルビン酸及びクロロゲン酸含量との関係
藤田 修二東野 哲三
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1988 年 57 巻 2 号 p. 312-318

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抄録

低温貯蔵したハッサク果実を出庫後, その貯蔵温度を変化 (5°Cから20°C) させることにより, コハン症が高率で発生した. コハン症発現にともなう果皮化学成分の変化について, アスコルビン酸 (AsA) 及びクロロゲン酸(Chl)に着目して, 追究した.
果皮フラベド健全部の AsA 含量はアルベド部よりも高く, 出庫後の貯蔵中にコハン症が発生するとともに著しく減少した. また, コハン症が発生した実験区のフラベド部 AsA 含量は200mg%以下であった.
Chl はフラベド部に局在の (アルベド部の5~10倍),その含量は出庫後の貯蔵中にやや増加する傾向にあった.
また, フラベド障害部の AsA, Chl 両成分含量は, 健全部のそれらに比べてかなり低かった.
果汁の糖度及び AsA 含量の出庫後の貯蔵中の変化は小さかった.
以上の結果から, コハン症の発生と果皮フラベド部のAsA 含量との間には密接な関係があり, その含量がコハン症の発生を占う1つの指標となることが明らかとなった.

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