園芸学会雑誌
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ウイルスフリーぶどう樹‘カベルネ•ソービニオン’及び‘カベルネ•フラン’のウイルス再感染について
山川 祥秀
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1989 年 58 巻 2 号 p. 297-302

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抄録
‘カベルネ•ソービニオン’及び‘カベルネ•フラン’のウイルスフリー樹と保毒樹を混植して, 栽培試験していたところ, 7~8年生樹になって, フリー樹がウイルスに再感染するところとなった.
1985~87年 (6~8年生樹) の3年間にわたり果汁糖度と酸度の経時的変化を調査するとともに, ウイルス検定を行い, 次の結果を得た,
1. 完熟期におけるウイルスフリー樹とウイルス保毒樹の果汁糖度は, 1985年 (6年生樹) の‘カベルネ•ソービニオン’においては21.0度と17.2度, ‘カベルネ•フラン’においては19.6度と14.8度で, フリー樹は高かった. 1987年 (8年生樹) になると‘カベルネ•ソービニオン’においては17.0度と18.0度で, ‘カベルネ•フラン’においては16.7度と17.5度で, フリー樹は低糖度となった.
2. 完熟期におけるウイルスフリー樹とウイルス保毒樹の果汁酸度は, 1985年 (6年生樹) の‘カベルネ•ソービニオン’においては0.68g/100mlと0.78g/100ml, ‘カベルネ•フラン’においては0.33g/100mlと0.58g/100mlで, フリー樹は低かった. 1987年 (8年生樹) になると‘カベルネ•ソービニオン’においては0.70g/100mlと0.62g/100ml, ‘カベルネ•フラン’においては0.58g/100mlと0.47g/100mlで, フリー樹は高酸度となった.
3. 1987年に行ったウイルス検定の結果, フリー樹はリーフロール及びフレックウイルスに再感染していた. 8年生のウイルスフリー樹で果汁糖度の低下, 果汁酸度の上昇が認められ, また赤熟れや紅葉が生じたことは, フリー樹がウイルスに感染したためと思われた.
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