雨よけ施設内のオウトウの裂果発生の原因を明らかにするため, ‘佐藤錦’果実の肥大特性と裂果発生の調査を, 露地の成木樹及び雨よけパイプハウス内の鉢植え樹の両者で行った.
1. 露地オウトウの裂果は主として降雨により大規模に発生した. しかし, 無降雨日にも小規模の裂果発生が観察され, これには潤沢な土壌水分, 高い膨圧及び高い空気湿度が密接に関連していることが推察された.
2. 雨よけハウス内の鉢植え樹でも小規模の裂果が観察された. 非接触式変位計(“ギャップセンサー”)を用いた果実横径の連続測定の結果, 果実生長第III期には土壌水分が潤沢であれば, 数日間昼夜を問わず急速な肥大が続くことが明らかになった. 雨よけ施設下においても, この期間の高い空気湿度や大量の灌水は一部の果実に裂果を生じさせるものと推察された.