園芸学会雑誌
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ジクロルプロップ及びMCPBによるリンゴ‘つがる’果実の成熟促進
塚原 一幸小池 洋男平田 尚美
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1990 年 59 巻 2 号 p. 349-355

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抄録

リンゴ‘つがる’の果実の成熟と品質に及ぼすジクロルプロップ及びMCPBの影響を明らかにするとともに, これら薬剤の使用方法について検討を加えた.
1. 果実の成熟はジクロルプロップ散布により促進され, その効果は処理時期及び濃度により異なった. 満開6~8週間後以降の処理では, 処理時期が早いほど, また, 高濃度処理ほど成熟が促進された. しかし, 早期の高濃度処理では果実肥大が抑制され, 満開4週間後の処理では成熟の促進が認められず, 新梢先端部から枯れ込む薬害が発生した.
果実肥大等への影響を考慮すれば, 満開10~12週間後の45ppm1回または2回処理が実用的と考えられ, これにより成熟は2~3週間程度早まり, 着色も良好となった.
2. MCPB処理によっても成熟が促進され, 果実の成熟は, 満開94日後の50ppmまたは67ppm処理により2週間程度, 満開105日後の同濃度処理により1週間程度早まった. しかし, 満開85日後の67ppm処理で新梢先端部から枯れ込む薬害が認められた.
3. ジクロルプロップ散布時に界面活性剤(アプローチBI, 0.3%)を添加すると成熟促進効果が増大した.また, 果実肥大促進を目的としたジベレリン(GA4+7)100ppmの満開3週間後散布により, ジクロルプロップの成熟促進効果は低下した. ただし, ジベレリン処理により果実は縦長となり, 果実肥大が促進される傾向がみられた.
4. ジクロルプロップ5000ppmを含むラノリンペーストを部位別に処理したところ, 果柄または離層形成周辺部への処理で成熟促進効果が高く, 果台や果台枝に処理した場合の効果はそれらより劣った.

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