園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
サツマイモに含まれるアントシアニンの組成と構造について
宮崎 丈史都築 和香子鈴木 建夫
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 60 巻 1 号 p. 217-224

詳細
抄録

サツマイモの表皮色はその市場評価を高めるうえでの重要な品質要因となっている. 表皮の鮮やかな赤色はアントシアニンによるものとされているが, これについての研究はきわめて少なく, その化学構造についても一部が明らかにされているにすぎない. Imbertら(4) は, サツマイモの茎の赤色色素について調査し, その主要成分をジカフェオイル-シアニジン-3-ジグルコシド-5-グルコシドおよびジカフェオイル-ペオニジン-3-ジグルコシド-5-グルコシドと報告している. 一方,塊根内部が紫色のサツマイモは, 一部の品種についてその主要なアントシアニン ('Yen217':カフェオイル-フェルロイル-シアニジン-3-スクロシド-5-キシロシド) が同定されている (9).アントシアニンは, 近年, 天然の着色料として食品への利用が急速に増加しているだけでなく, 抗酸化能などを有する機能性物質としての検討も開始されている (10). そこで著者らは, 高品質なサツマイモの生産,貯蔵に関する研究およびアントシアニンの利用に関する研究の一環として, わが国における青果用サツマイモの主要品種である'紅赤'と'ベニアズマ'の表皮を用い,これらの表皮色を構成している色素であるアントシアニンの構造の同定を試みた. 本報告では, その結果とともに, 紫サツマイモの代表的な品種である'山川紫'と'種子島紫'の塊根のアントシアニン組成についても述べる.

著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top