抄録
ニンニク (Allium sativum L.) において珠芽と側球の底盤および花床部からembryogenic callusが誘導され, 不定胚の発生が観察された. また, embryogenic callusからは植物体再生の検討を行った結果, 高い再生率が得られた.
珠芽および側球の底盤からのernbryogenic callusの誘導にはいずれもAZ培地を基本とし, p-CPA 10μM, カイネチン1μMおよび2,4-D10μMを添加した培地が適していた. 側球の底盤からのembryogenic callus形成には2,4-Dがp-CPAに比べて影響が大きいが,2,4-Dとともにp-CPAを添加することにより形成数や大きさを増大させた. 花床部の培養はBDS培地を用い,NAAとBAの影響を検討したが, embryogenic callus形成にはBAが阻害的に働き, NAA 1~10μM単独添加が良好であった.
組織学的観察によりembryogenic callus内における不定胚の発生が確認された. また, 植物生長調節物質無添加のMS培地において不定胚が発育したが, 不正常な発育を示すものも認められた.
Embryogenic callusからの植物体再生には植物生長調節物質の効果が認められ, NAA 1μMとBA 5~10μMの組み合わせが優れており, 75%以上のカルスがシュートを形成した.