抄録
ギョウジャニンニク (Allium victorialis L. ssp. platyphyllum Hult.) の生育特性および養分吸収特性を明らかにする目的で, 生育経過ならびに無機成分含有量の変化を調査した.
1. 2~3葉の葉がほう芽期から展葉期にかけて急激に伸長し, 8月から9月にかけて枯葉したが, りん茎は枯葉期まで肥大した. またほう芽葉芽は生育期間を通して伸長した.
2. 生体重および乾物重は葉の生長とともに著しく増加し6月にピークを示したが, それ以後9月まで減少し10月以降再度増加した.
3. 窒素, リンの株当たりの含有量は4月から8月にかけて増加を続け, カリウムおよびカルシウムは4月から6月にかけて増加していることから, この時期に養分の吸収が活発に行われていることが推察された.
4. 各成分はほう芽期から抽だい•開花期まで葉に多かったが, その後りん茎と根に移行し, 休眠期以降は根に多く含まれた. ほう芽葉芽の各成分含有量は秋まで増加し続けた.
5. リンの含有率は他のネギ属植物に比べて高く,ギョウジャニンニクの特徴の一つと考えられた.