園芸学会雑誌
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サツマイモの表皮色および表皮に含まれるアントシアニンの生育中と貯蔵中における変化
宮崎 丈史
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1992 年 61 巻 1 号 p. 191-197

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抄録
サツマイモ表皮色と表皮アントシアニンの品種間差異および生育中と貯蔵中における変化について調査し,以下のような結果を得た.
1, サツマイモの表皮色を構成するアントシアニンは, 4品種ともペオニジン配糖体が多くシアニジン配糖体は少なかった. また, アシル化アントシアニンは'紅赤'に多く, 'ベニアズマ'には少なかった.
サツマイモ表皮の1%塩酸-メタノール抽出液の吸光度は色の濃淡とよく一致し, 最も濃い'ベニアズマ'は紅赤'などの品種に比べて約2倍の吸光度を有していた.
2, 生育中に, 表皮特有のアントシアニン成分であるP-3 (ペオニジン3-ジグルコシド5-グルコシド) と園学雑. (J. Japan. Soc. Hort. Sci.) 61 (1) :191-197.1992.P-6 (p-ヒドロキシベンゾイルペオニジン3-ジグルコシド5-グルコシド) が, '紅赤'および'ベニアズマ'に共通して増加した.
3, 貯蔵中に表皮色は変化し, 貯蔵6か月後には表皮抽出液の吸光度で2~3割減少した. また, 表皮色はキュアリング処理によっても約2割減少した.
貯蔵湿度を100%RH近くに高めると, 表皮色は収穫時に近い色調を保つもののやや淡くなり, 貯蔵4か月以降には一部に斑状の変色なども生じた. このため,4~6月間の長期貯蔵におけるサツマイモ表皮色の保持には, 13°Cで95%RH程度の貯蔵環境が適しているものと考えられた.
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