園芸学会雑誌
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葉緑体DNAのRFLP分析によるワケギの母親および父親植物の同定
田代 洋丞大山 知泰岩元 芳行野田 ルミ宮崎 貞巳
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1995 年 63 巻 4 号 p. 819-824

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抄録
ワケギ (Allium wakegi Araki) の起源に関するこれまでの細胞遺伝学的研究の結果から, この植物は雑種起源であり, 両親はネギ (A. fistulosum L.) およびシャロット (A. cepa L. Aggregatum group) であることが明らかにされている. そこで, 本研究ではワケギの細胞質の由来を追究することにより母親および父親を明らかにするために, ネギ, シャロット, 両種の正逆雑種およびワケギを供試して葉緑体DNAのRFLP分析を行った. 制限酵素としてSma I, Pvu II, Xho IおよびBgl IIを用いた場合にネギとシャロットの種間で明瞭な多型が観察された. また, ネギとシャロットの正逆雑種はそれぞれの母親と同じ制限パターンを示した. さらに, 日本, 韓国, 中国, 台湾およびミャンマーから収集したワケギ9系統はすべてネギとまったく同じ制限パターンを示した. 以上の結果から, ワケギの母親はネギであり, 父親はシャロットであることが実証された.
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