園芸学会雑誌
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水ストレス下におけるヒマワリ葉の光合成の非気孔的抑制と関連したデンプンおよびショ糖への同化産物の分配
金地 通生山田 潤子稲垣 昇前川 進
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1998 年 67 巻 2 号 p. 190-197

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抄録
ヒマワリ葉の光合成に及ぼす水ストレスの影響を明らかにするため, ポットへの灌水を停止した後の葉の相対含水量(RWC)の低下に伴った光合成速度, およびその時のデンプンとショ糖含量を調査し, 光合成の非気孔的律速による減少と同化産物のそれぞれの葉内炭水化物への分配の変化との関連を検討した.葉片の最大光合成速度(Pmax)は気相型酸素電極法により光飽和およびCO2飽和(10 kPa)下で測定することで, 気孔閉鎖による葉内へのCO2の拡散不足を克服した葉肉細胞の最大CO2固定能力として評価した.Pmaxに達するのに必要な前照射時間は, 水ストレスを受けていない葉での2分と比べて葉の脱水に伴って(RWCが約60%) 8分と長くなり, さらにPmaxおよびみかけの量子収率(光強度-光合成反応曲線の初期勾配)が低下したことにより, CO2固定に関与する酵素の光活性化が水ストレスによって抑制されることが示唆された.50μMのアブシジン酸を投与して気孔が閉孔した葉のPmaxは, 測定時CO2濃度を10 kPaまで上昇させることによりCO2が葉内に十分に拡散し, 水ストレスを受けていない葉(RWCが85%以上)に匹敵するまで増加したが, 水ストレスを受けた葉(RWCが65%以下)のPmaxは完全に回復しなかった.また, RWCの低下に伴って, Pmax測定時の同化産物はデンプンの分配が減少し, ショ糖の分配が増加した.すなわち, ヒマワリ葉の脱水が著しくなるのに伴った光合成の低下は, 気孔閉鎖への起因から非気孔的な律速への起因に徐々に変化し, それには同化産物のデンプンおよびショ糖への分配パターンの変化に関与したフィードバック阻害が示唆された.
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