抄録
ニホンナシ品種'新星'および'新興'由来の新規自家不和合性遺伝子(S9遺伝子)の部分塩基配列を決定した.この配列は167のアミノ酸に翻訳可能で, RNase活性に必要とされる2つのヒスチジン残基とニホンナシの自家不和合性遺伝子群に特徴的な6つのシステイン残基を有していた.また想定されるイントロンの長さは約1.1kbpであった.このS9遺伝子とすでに報告されているニホンナシおよびリンゴのS遺伝子とを推定アミノ酸配列レベルで比較したところ高い相同性(95.2-59.3%)がみられた.特にリンゴのS3遺伝子とは系統樹による解析の結果からも近接した位置に分類され, ニホンナシのS9遺伝子がリンゴのS3遺伝子と密接な関係を有していることが示された.'新星'と'282-12'との交雑実生のF1集団を用いたS遺伝子の分離分析でもS9遺伝子がS遺伝子座に存在することが示され, S9遺伝子がS-RNaseとして働いている可能性が示された.