水文・水資源学会誌
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原著論文
AMeDASデータによる暖候期降水量と最大1時間·日降水量の関係
牛山 素行寶 馨
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2003 年 16 巻 4 号 p. 368-374

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抄録

各地域ごとの簡便な豪雨推定手法として, 気象庁AMeDAS観測所の20年間のデータ (1979∼1998年, 1148ヶ所) を用いて, 暖候期降水量と極値降水量 (20年最大1時間·日降水量) の関係について調べた. 暖候期降水量と極値降水量の間には, 暖候期の期間の取り方にかかわらず統計的に有意な相関が認められ, 4月∼10月積算降水量との相関が最も高かった. 暖候期を4月∼10月として, 暖候期降水量と極値降水量を線形回帰したところ, 統計的に有意な回帰式が得られた. 暖候期降水量による極値降水量推定値より実測値が小さい観測所を, 最近20年間の最大規模豪雨が比較的弱い観測所と考え, このような観測所が集中している地域を「豪雨空白域」として抽出したところ, 秋田·岩手県境付近, 長野県西部·岐阜県北部·北陸付近, 広島県, 福岡県, 熊本県南部, 鹿児島県東部などが抽出された. また, 暖候期降水量と極値降水量の散布図から作成した包絡線によって暖候期降水量に応じた可能最大雨量 (PMP) を推定したところ, 日降水量については154箇所の気象官署 (平均統計年数66年) 中150箇所の実測最大値が推定値の範囲内となった.

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© 2003 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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