2004 年 17 巻 3 号 p. 241-251
本研究では衛星リモートセンシングデータによりユーラシア大陸の湖の解氷日を推定するためのテストスタディとして,現場データとMODISデータによる水温トレンドを用いてサロマ湖の解氷日の推定を行った.
まず,サロマ湖の現場データによる水温トレンドを2次,または線形回帰式で評価した.それを用いて0.0°Cとなる日付の推定精度を評価した結果,1日から2日程度であった.これらの水温トレンド回帰式を用いて,サロマ湖の全面解氷日を推定した結果,オフセット除去後2日程度の精度で推定可能であった.次にMODISデータによる定点の水温トレンドより,2000年から2002年のサロマ湖の全面解氷日の推定を行った結果,オフセットが−14日,標準偏差が4日程度であった.最後に衛星データの取得頻度やデータの誤差と解氷日推定精度の関係を評価するために現場データを用いてシミュレーションを行った.その結果,サロマ湖において衛星データによる水温トレンドから4日程度の精度で解氷日の推定が可能であることを明らかにした.