水文・水資源学会誌
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Mann-Kendall検定による水文時系列の傾向変動
西岡 昌秋宝 馨
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2004 年 17 巻 4 号 p. 343-353

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抄録
本研究では,時系列の傾向変動を解析する手法の一つであるMann-Kendall検定の水文時系列への適用可能性を調べた.日雨量,無降雨継続時間,降雨継続時間の独立性を仮定できる日雨量の模擬発生手法を提案し,発生した系列から長期の閾値超過系列,年最大日雨量系列および年雨量系列を抽出した.これらの系列に対してMann-Kendall検定を適用し,傾向変動を把握するために必要なデータの年数と増加率との関係を調べた.この結果,雨量の経年的な傾向変動を検出するためには,毎年最大値系列(annual maximum series, AMS)では不十分であり,年降雨量または日雨量の閾値超過系列(peaks-over-threshold series, POT)を用いることが良いことが示された.特にPOTは,年降雨量系列よりも短い年数で傾向変動を検出できる可能性がある.日雨量が100年間で25%増加する系列の場合,95%の確からしさで傾向変動をもつと判断するためには,110年間の年雨量データが必要であること,10%増加する系列の場合は,160年から180年のデータが必要であることが示された.
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© 2004 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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