水文・水資源学会誌
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GISベースの分布型流出モデルを用いた比較水文学の提案
朴 珍赫小尻 利治友杉 邦雄
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2004 年 17 巻 4 号 p. 368-380

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抄録

従来の河川水文学分野の研究の主対象は個々の流域の気候,地形などの自然的な因子の分析を通した流域内の降雨―流出現象の究明に集中されてきた.一方,近年,全世界的にGIS及びRSデータなどデジタル情報の構築が進んでおり,従来の集中型モデルよりも流域内の諸量の空間的な変動を考慮できるメッシュで構成された分布型モデルの活用度が高まっている.この分布型流出モデルによって,各流域間の流出場と降雨―流出の時空間的特性のより詳細な比較が可能となる.
本研究では,流出特性をより詳細に把握できるGISに基づいた分布型流出モデルを構築し,階層分析法(AHP)を応用して流出に影響を及ぼす気候及び流出場の類似性の比較研究を通して,各流域の特性を総合的に比較できる比較手法を開発し,その手法に基づく比較水文学を提案するものである.対象流域としては,アジア・太平洋地域の3流域を選定し,比較研究を行う.

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© 2004 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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