2004 年 17 巻 5 号 p. 523-528
融雪流出に関する実証的な報告例が少ない東北地方の山地流域において,積雪の表層で生ずる表層融雪量を推定するとともに,積雪内の浸透を経て地表に到達する地表到達量と河川流出量を実測し,これらを比較した.その結果,融雪量の時間分布が示す鋭敏なピークに比べて,流出量のそれは鈍く,対象流域の融雪流出は,時間変化に乏しい流出成分が卓越することが示唆された.また,表層融雪量と地表到達量のピーク時間差は積雪深の減少に伴って漸減するが,表層融雪量と流出量とのピーク時間差は,同じ傾向にあるものの,ばらつきが大きいことが示された.