2004 年 17 巻 5 号 p. 529-535
山地斜面の積雪分布を精度良く把握するため,冬季に3-5mの積雪がある新潟県東頸城丘陵内の同一斜面(0.3km2)を対象に,航空レーザスキャナを用いた積雪深計測をおこなった.計測は積雪期と無積雪期にそれぞれおこない,得られた積雪面標高と地表面標高の差分から積雪深の平面分布を求めた.精度検証のためGPSおよび超音波積雪深計による積雪深(グラウンドトゥルース)と比較した結果,航空レーザスキャナによる計測誤差は+26.5~-13.6cm,平均で+1.8cmとなった.これは一部の急斜面や尾根での異常値を除き,積雪深の平面分布を議論するために十分な精度を持っていると考えられた.
積雪分布図をもとに,地形条件による積雪特性について以下の傾向が明らかとなった.1)積雪深は北および北東斜面で増加し,南斜面で減少する.2)積雪深は尾根状地形で減少し,谷状地形で増加する.急斜面から緩斜面への傾斜変換帯に沿って積雪増大域が筋状に分布する.これは積雪が上部斜面からクリープ,グライド,雪崩の各現象によって堆積した結果と推測された.