抄録
2003年8月9日から10日にかけての台風10号による豪雨は,北海道日高地方を中心に11名の死者・行方不明者を含め大きな被害を発生させた.特に,沙流川流域では観測史上最大の降雨量を記録し,河川流量は計画を大きく上回り,沿川の町に大きな被害を与えた.沙流川中流域に建設されている北海道開発局室蘭開発建設部所管の二風谷ダムでも,計画を上回るダム貯水池への流入量があったが,的確なダム操作により,ダム下流の堤防からの溢水被害を天端ぎりぎりのところで防いでいる.
計画洪水流量を超える非常状態で,二風谷ダムがどのように操作されたのか,ダム管理所の流入量計算システムでの計算流入量が適正であったのか等について検証する.