抄録
河川の水質改善および負荷量削減を図るためには,河川ごとの濃度や流出負荷量の特性を把握し,各流域特性に基づいた対策を立てる必要がある.本研究では,琵琶湖流入河川のうち農業系負荷が大きな割合を占める宇曽川と,工業系負荷の割合が大きい法竜川を調査対象として水質および流量を測定し,代かき田植期とそれ以外の期間との差異を,晴天時および降雨時について検討した.
晴天時については,代かき田植期のT-N,T-P,T-COD,SS 濃度および負荷量はそれ以外の時期よりも高く,平均値の差のt検定で有意な差を示すものが多かった.一方,降雨時においては,代かき田植期の方がそれ以外の期間よりも低い傾向を示した.
琵琶湖集水域では代かき・田植期の濁水が問題となっているが,それ以外の期間中の降雨時に,はるかに多くの流出負荷量が観測された.したがって水系の水質改善,負荷量削減を図る際には,代かき田植期のみならず降雨時における対策を重点的に講じることが必要である.