水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
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18 巻 , 2 号
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原著論文
  • 大道 暢之, 金木 亮一
    18 巻 (2005) 2 号 p. 97-105
    公開日: 2005/04/27
    ジャーナル フリー
    近年,日本各地で自然再生事業が行われており,その多くは河川・湿地・湖沼生態系の復元に関連している.そして,そういった事業では生態系の回復や水質浄化機能などが期待されている.今後,一層このような自然再生事業が展開されていくことが予想される.しかしながら,人工湿地の遷移を連続モニタリングした研究は数少ない.そこで,本研究では,人為的管理の徹底されていない人工湿地である早崎内湖ビオトープを研究対象とし,湿地内の水質特性を明らかにするために,湿地内の水質・負荷連続モニタリングを行った.
    調査の結果,以下のような知見を得た.(1)流出負荷の方が流入負荷よりも高く,「汚濁型」を示していた.(2)流出負荷の大半は表面流出であるが,浸透水の負荷量もCOD,窒素,リンそれぞれ20,31,36%にのぼると推定された.(3)この湿地では底泥の巻き上げ由来の汚濁負荷より,内部生産由来の汚濁負荷が大きな影響を与えている.
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  • 竹下 伸一 , 三野 徹
    18 巻 (2005) 2 号 p. 106-115
    公開日: 2005/04/27
    ジャーナル フリー
    本研究では,京都盆地内に位置し,かつ観測地点間の距離がごく狭い範囲で66年間にわたる観測が行われてきた3地点の日雨量データを用いて,降水特性の経年変化傾向の解析を行った.とくに雨の降り方について検討するために,「ひと雨」に着目し,降雨強度や降雨継続期間等について階級別寄与の観点から検討を行った.その結果,観測点が隣接しているにもかかわらず,多くの降水指標の変化傾向が異なっていたが,冬の降雨日数の増加傾向などは3地点で共通していた.市街地に位置する観測点では,秋に降雨の集中化が認められ,都市化による影響の可能性が示唆された.また都市域と山林域の観測点で無降雨期間が長期化する傾向が確認された.
    これらの解析結果は,いずれも長期間の観測に基づくもので,これまでこのような研究報告がないことから,局地的な降水特性の変化に対して貴重な情報を提供するものである.
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  • 松原 卓美, 樋口 篤志, 中村 健治, 秋元 文江
    18 巻 (2005) 2 号 p. 116-131
    公開日: 2005/04/27
    ジャーナル フリー
    熱帯降雨観測衛星 (Tropoical Rainfall Measuring Mission:TRMM) に搭載されている降水レーダー (Precipitation Radar:PR) は,現在ある全球降水量マップ (例えば,Global Precipitation Climatology Project (GPCP)等) に比べ,水平分解能が細かいため流域単位での詳細な降水量分布の把握が可能である.本研究では分水嶺付近の降水量分布の特性に関して,東南アジア領域を流れるイラワジ川流域,メコン川流域に着目し,4年季節平均を施したTRMM-PR データを使い解析を行った.
    その結果以下のことが明らかになった.1).下層風と地形の交わり方が降水量に与える影響を調べた結果,下層風が地形と直交する場合に降水量が最も多かった.また平均降水頻度,降水量,降水強度は,すべてのType で標高依存性を示した.2).標高・降水量の横断図解析から,降水量は地形の隆起が起こるより風上側から増加し,分水嶺の風上側で最大降水量を示す.山岳地域では, 降水量のピークは谷地形の位置と良い一致を示した.3).風上側と風下側の降水量の差を規格化した指数,IPDD (Index of Precipitation Distribution over the Divide) と分水嶺の標高との関係が得られたが,同時に季節性,地域性も認められた.しかし, この結果から,バリア効果のように降水量分布の特徴を分ける分水嶺の標高の閾値があると言える.4).本研究では,解析対象領域全体の分水嶺効果を表す一般的な関係を提示することはできなかった.しかし,本研究で算出されたIPDD は,水平分解能が粗い全球降水量マップから流域内降水量を推定する際応用可能な指標となり得ると思われる.
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  • 陸 旻皎, 山本 隆広
    18 巻 (2005) 2 号 p. 132-139
    公開日: 2005/04/27
    ジャーナル フリー
    本研究の目的はランダムカスケードモデル(RCM)の基本高水流量算定への応用可能性を検証することである.そのために降雨量に対して保存性のあるカスケードジェネレータを提案した.香川県内のAMeDAS 地点の1994年4月から2002年12月までの10分間雨量を分析し,そのパラメーターを決定した.これらのパラメータに広域性があること,時間スケール依存性と降雨強度依存性を持つことが明らかになった.さらに,RCM を用いて計画雨量から計画ハイエトグラフ群を発生させ,降雨流出モデルで多数のピーク流量を算出し,その統計的な性質を明らかにした.この方法を香川県内の1級河川土器川祓川橋上流域に適用した結果,計画雨量と同程度の雨のパラメーターを使った場合に,現行の基本高水流量と同程度の平均ピーク流量が得られた.また,平均値だけでなくピーク流量の分布に関する情報も得ることができ,河川計画上大変有益である.
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  • シェイバニ ウルドゥ エレミン, 渡部 直喜
    18 巻 (2005) 2 号 p. 140-155
    公開日: 2005/04/27
    ジャーナル フリー
    六日町盆地における地下水の起源,涵養域,流動系といった水文地質学的特徴を識別するため,水質と酸素同位体比を用いて調査した.本地域の降水にみられる酸素同位体比の高度効果は,-0.25‰/100m と見積もられる.酸素同位体比からみて,地下水は天水起源であり,越後山地や魚沼丘陵から供給されている.Na-Cl 型の地熱水の涵養域は越後山地の高所である.地下水の水質は, Ca-HCO3, Ca-Na-HCO3, Na-Ca-HCO3, Ca-HCO3-Cl, Na-Cl-HCO3, Ca-Na-Cl and Cl--rich Na-Ca-HCO3 型に分類される.Ca-HCO3 型と低濃度Ca-Na-HCO3 型地下水は,盆地の東側に分布し,その他は西側に分布する.Ca-HCO3 型は始原的な水質で,水-岩石相互作用の進行に伴って,全濃度並びにCa2+濃度に比してNa+濃度の増加が起こり,水質が変化する.Cl-に富む地下水は断層系が存在する盆地の西縁にのみ見出される.これらは浅層の地下水と,深部から上昇してくる地熱水の混合によって形成される.この混合作用は,本地域の地下水の化学的進化における特徴の1つである.
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  • モハオシ オサマ, 福村 一成, 石田 朋靖, 吉野 邦彦
    18 巻 (2005) 2 号 p. 156-166
    公開日: 2005/04/27
    ジャーナル フリー
    土壌や植生が不均一な圃場における水分移動現象を明らかにする基礎として,土壌の水理特性と乾燥密度との関係を調べ,モデル化を行った.室内実験により,再充填した土壌カラムを用いて乾燥密度と水分特性曲線および不飽和透水係数の関係を測定した. その結果,乾燥密度ごとに適切なパラメータを与えることで,土壌水分特性はvan Genuchten モデル,不飽和透水係数はMualem モデルにより良好に表現された.また,得られた各パラメータは,乾燥密度を説明変数とする相関係数0.91-0.99の回帰式で表すことができた.この結果,土壌の水理特性と乾燥密度の関係は,修正したvan Genuchten モデルとMualem モデルによって表すことが可能となった.
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  • 若井 泰佑, 金木 亮一, 板倉 啓人, 坂野 美里
    18 巻 (2005) 2 号 p. 167-176
    公開日: 2005/04/27
    ジャーナル フリー
    河川の水質改善および負荷量削減を図るためには,河川ごとの濃度や流出負荷量の特性を把握し,各流域特性に基づいた対策を立てる必要がある.本研究では,琵琶湖流入河川のうち農業系負荷が大きな割合を占める宇曽川と,工業系負荷の割合が大きい法竜川を調査対象として水質および流量を測定し,代かき田植期とそれ以外の期間との差異を,晴天時および降雨時について検討した.
    晴天時については,代かき田植期のT-N,T-P,T-COD,SS 濃度および負荷量はそれ以外の時期よりも高く,平均値の差のt検定で有意な差を示すものが多かった.一方,降雨時においては,代かき田植期の方がそれ以外の期間よりも低い傾向を示した.
    琵琶湖集水域では代かき・田植期の濁水が問題となっているが,それ以外の期間中の降雨時に,はるかに多くの流出負荷量が観測された.したがって水系の水質改善,負荷量削減を図る際には,代かき田植期のみならず降雨時における対策を重点的に講じることが必要である.
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研究ノート
  • 濱田 浩正, プチソ マヒソン
    18 巻 (2005) 2 号 p. 177-184
    公開日: 2005/04/27
    ジャーナル フリー
    ラドン(222Rn)は地表水と地下水の交流現象を解析するのに良い指標である.地表水はラドン濃度が低いため,その測定のためにはラドンを濃縮しなければならない.この作業は手間がかかり,特別な装置が必要であった.筆者らは空気循環によって水中のラドンをエタノールとドライアイスで冷却したトルエンに濃縮する簡便な方法を提案した.これは,ラドンが冷却したトルエンに溶けやすい性質を利用している.この方法を実験によって実用性を確認した後,東北タイの現地に適用した.その結果,標高の低い地域の地表水は標高の高い地域の地表水よりも高いラドン濃度を示し,設定した試験地域では地下水が標高の低い地域に湧出していることが示唆された.
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解説
  • 高橋 信吾, 石川 智士, 黒倉 寿
    18 巻 (2005) 2 号 p. 185-193
    公開日: 2005/04/27
    ジャーナル フリー
    カンボジアの内水面漁業はトンレサップ湖およびその下流のメコン川の氾濫域で特に盛んであり,動物性のタンパク質の供給源として重要である.カンボジアの漁業形態は,大規模漁業・中規模漁業・小規模漁業に大別され,漁獲物の多くは家族漁業等の小規模漁業で捕獲されている.近年,漁業者の増加から漁業者間の軋轢,特に大規模漁業と小規模漁業の間の利害対立が問題となっている.政府は大規模漁業を抑制し,生業的な地域零細漁業を保護する方向で制度の改革を行っているが,地域零細漁業者を主体とする資源管理・環境保護のシステムは十分に普及しておらず,このことが漁業の持続的発展の障害となっている.メコン川の水利用・管理システムの変化は水産資源に大きな影響を与えると考えられるが,資源量推定・変動予測に必要な,漁獲統計等のデーター収集システムも構築されていない.このような現状では,水産資源学的な研究を可能にするための情報収集システムの構築とともに,重要魚種についての生態学的な調査をすすめ,これらの結果を総合して解析を進めることが,資源量の推定,資源変動要因の解明のための現実的な対応と考えられる.
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