水文・水資源学会誌
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原著論文
スノーサーベイとリモートセンシングに基づく山地積雪水資源量の推定
—新潟県上越国境周辺を事例に—
島村 雄一泉 岳樹松山 洋
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2005 年 18 巻 4 号 p. 411-423

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抄録
山地積雪水当量の標高に伴う線形増加は,森林限界より低い標高帯でのスノーサーベイから得られた知見であり,森林限界より高い標高帯へ外挿して流域全体の積雪水当量を推定した場合の影響は明らかでない.この影響を評価するため,2002年と2003年の融雪期における新潟県巻機山を対象に,森林限界の上下でスノーサーベイを実施した.積雪水当量は,森林限界より低い標高帯では標高に伴い線形増加したが,森林限界より高い標高帯では急激に減少した.次に,流域全体の積雪水当量を推定する際に,森林限界より高い標高帯の積雪水当量を,森林限界より低い標高帯の線形増加を外挿した場合と観測値を当てはめた場合とを比較した.ここでは六日町より上流の魚野川流域を対象とし,積雪域の分布は衛星画像解析から求めた.両者の違いは,流域を集中型で扱う場合流域平均で8~12%になり,降水量や河川流量の観測誤差と同じ程度であった.しかしながら,流域を分布型で扱う場合,稜線上では300%以上の違いになる場所があった.また,対象流域における森林限界より高い標高帯では,卓越風向に対する風衝斜面が多いため,積雪の移送に関して収支が閉じないことを示した.
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© 2005 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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