森林蒸発散フラックスの計測は世界各地で数多く行われてきており,1990年代以降あたかも大流行の感があるが,このようなフラックス計測の大流行による産物は明示されてこなかった.本稿は,森林蒸発散フラックス計測の大流行の産物を解説するものである.森林蒸発散研究は,蒸発散量を気象条件とパラメータによって定式化することと,パラメータを森林特性(広葉樹/針葉樹,葉面積指数,樹高など)と関連づけることを目指している.このうち,前者はフラックス計測の大流行を待たずしてほぼ完了していた.一方,後者はフラックス計測の大流行によってはじめて可能となった.後者を行うためには,さまざまな特性を持った森林におけるデータの蓄積が必要だったからである.