水文・水資源学会誌
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研究ノート
葉面積指数の直接推定法において作業プロセスの違いとそれらの組み合わせが推定値に及ぼす影響—スギ人工林における事例解析—
藤原 靖長谷川 宏一島村 雄一泉 岳樹松山 洋
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2005 年 18 巻 5 号 p. 603-612

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抄録

スギ人工林の葉面積指数(LAI)を直接推定法により求める際に,作業プロセスの違いとそれらの組み合わせによって,LAI推定値がどの程度異なるのかを調べた.作業プロセスは,調査木の選定,葉のサンプリング,葉サンプルの面積計測の3段階から成る.各プロセスには複数の手法があるため,それらの組み合わせによりLAI推定値は変動する.調査木の選定では,調査木が1本の場合と3本の場合とで,LAI推定値の違いが10%以上になった.この場合,胸高断面積が平均に最も近い個体を1本だけ選ぶ方法では,LAIが過小推定される可能性がある.葉のサンプリングでは,作業を簡略化して全体の1%の葉を計測対象とした場合,層別刈り取り法を行なった場合に比べて,LAI推定値が10%以上大きくなった.葉面積の計測では,スギ葉の比葉面積と軸径との関係式を用いる方法において,直径を階級区分して計算する従来の方法と,階級幅で重みづけした平均直径を用いる簡便な方法のどちらでも,LAI推定値は5%以下の違いであった.このように,個々のプロセスによるLAI推定値の違いはそれほど大きくないが,これらのプロセスによる違いが累積した場合,施業管理により個体差が小さいと考えられるスギ人工林であっても,LAI推定値に最大で40%の違いが生じる場合があることが分かった.

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© 2005 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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