水文・水資源学会誌
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原著論文
森林域からの流出窒素ポテンシャルに関する広域的評価の試み:矢作川流域における事例
伊藤 江利子小野 賢二清水 貴範竹中 千里服部 重昭荒木 誠
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2008 年 21 巻 2 号 p. 100-113

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抄録
森林の適切な管理を行うためには,森林域からの窒素負荷を簡便かつ広域的に推定する手法が必要である.そのため,矢作川流域の森林域1,340 km2を対象とし,森林土壌から渓流水を通じて流出する窒素負荷の可能性を,以下の3つの過程で推定した.1)森林表層鉱質土壌(0-5 cm)の窒素無機化・硝化速度を室内培養法で測定する.2)立地環境特性から流出窒素ポテンシャル(培養期間中の硝酸態窒素生成量を面積あたりに換算;Mg N・km-2)を予測する多変量回帰モデルを作成する.3)モデルに既存のGISデータを入力して,流域全体の流出窒素ポテンシャルを推定する.
さらに,広域的な水質予測を行うため,簡易蒸発散量推定式を用いたGISモデルによって年流出量(mm・yr-1)を推定した.実測流入量と比較して,流出量推定モデルの精度を検証した.最後に,広域的な水質予測の指標としての渓流水窒素濃度ポテンシャル(流出窒素ポテンシャル/年流出量;mg N・L-1)を推定した.既往の渓流水窒素濃度測定値と比較して,本稿で試みた手法が広域的な傾向を再現できることを確認した.
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© 2008 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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