水文・水資源学会誌
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原著論文
複数の目標貯水量シナリオを用いるダム貯水池の低水管理
― 効率的な利水操作と下流河道の生態系保全(第二報) ―
渡邉 浩虫明 功臣
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2008 年 21 巻 6 号 p. 449-458

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抄録
第一報で,事前に下流基準点の正常流量と予測流量を比較し,その上で適時適量のダム操作を行えば現実の運用以上に効率的な水資源の低水管理が可能であることを示した.この方法は一年を通した目標貯水量のもとで実施すれば,さらに効率的な低水管理が可能である.わが国では春先の河川流出が大きいので,一年を通した目標貯水量が春先の貯水回復期までに必要な貯水量として設定することができる.そこで,1/10渇水を前提とした計画通りの運用を続ける時の目標貯水量のほかに,豊水年を想定してダム下流への放流量を義務量以上にして運用する時の目標貯水量や,渇水年を想定して取水量を計画値より減じて運用する時の目標貯水量などを複数のシナリオとして設定する.そして,現在貯水量が目標貯水量の直近上位に位置する最適なシナリオを選択し,翌日のダム運用をこのシナリオに沿って実施する方法を提案した.これを基に,現実に行われたダム操作の修正を試算し, この方法が有効かつ実現可能であることを検証した.
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© 2008 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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