水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
Print ISSN : 0915-1389
21 巻 , 6 号
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原著論文
  • 鶴田 健二, 久米 朋宣, 小松 光, 東 直子, 熊谷 朝臣, 大槻 恭一
    原稿種別: 原著論文
    2008 年 21 巻 6 号 p. 414-422
    発行日: 2008/11/05
    公開日: 2008/12/04
    ジャーナル フリー
    近年,海外において針葉樹林を中心に,樹高(それに伴い変化する林齢)の増大に伴う林分蒸散量の低下が報告され,その主要な原因の一つとして,樹高の増大に伴う単位葉面積当りの蒸散量(Q1)の低下が指摘されている.しかし,日本の針葉樹林においてQ1の低下の有無が調べられていないため,Q1の低下の有無を日本の代表的な針葉樹であるヒノキにおいて調べた.本研究では,互いに近接して生育し,樹高の異なる3つの林分(樹高の低い方からそれぞれS,M,L林分と名付けた)から3個体ずつ,合計9個体において樹液流計測により蒸散量を算定した.その結果,樹高7.0~11.5 mの範囲(S林分からM林分までの樹高の範囲)において,樹高とQ1の間に負の相関が認められた(r = 0.97, P < 0.005).一方,樹高11.3~18.1 mの範囲(M林分からL林分までの樹高の範囲)においては,樹高とQ1の間に明確な相関は認められなかった(r = 0.40, P > 0.1).本研究の結果は,樹高に伴うQ1の低下は樹高が低いときには顕著であるが,樹高が高くなると顕著でない(ないし,存在しない)ことを示唆する.
  • 小林 孝, 小尻 利治, 野沢 徹
    原稿種別: 原著論文
    2008 年 21 巻 6 号 p. 423-438
    発行日: 2008/11/05
    公開日: 2008/12/04
    ジャーナル フリー
    温暖化による流域スケールでの降水量変化を明らかにするため,パターン分類化手法とWeather Generatorを組み合わせ,全球大気海洋結合モデルによるシミュレーション結果を1 km,1時間のスケールにダウンスケールする手順の検討を行った.日本の尻別川(北海道),五ヶ瀬川(宮崎県)に適用したところ,時空間的降水量分布に大きな変化が生じることが得られた.さらに,これを分布型流出モデルに入力した結果,将来の両河川流域での水利用に関しても時空間的に変化が出ることを把握した.
  • 加藤 弘亮, 恩田 裕一, 伊藤 俊, 南光 一樹
    原稿種別: 原著論文
    2008 年 21 巻 6 号 p. 439-448
    発行日: 2008/11/05
    公開日: 2008/12/04
    ジャーナル フリー
    本研究では,ヒノキ樹冠下で発生する大きな雨滴径と雨滴衝撃力をもった人工降雨を発生させるために,既存の振動ノズル式降雨実験装置をもとに,急峻な山地斜面でも使用できる新しい降雨実験装置を開発した.実験施設内で行った性能評価実験から,新しい降雨実験装置は,大きな雨滴径の人工降雨を面積が1 m2の散水区画内に均一に発生させられることがわかった.また,新しい降雨実験装置で発生させた人工降雨の雨滴衝撃力は,ヒノキ樹冠下で発生する林内雨の雨滴衝撃力とほぼ等しいことがわかった.そこで,日本各地のヒノキ人工林において,新しい降雨実験装置を用いて浸透能を測定した.その結果,野外浸透能試験で測定された基準最終浸透能(FIR180)の範囲は39.0~172.8 mm h-1で,大きな雨滴衝撃を発生させない従来の浸透計で報告されている浸透能(> 200 mm h-1)よりも低い値だった.また,下層植生乾重量およびリター乾重量と最大最終浸透能(FIRmax)のあいだに高い相関が見られた.このことから,新しい降雨実験装置を用いて大きな雨滴衝撃力を発生させることにより,荒廃ヒノキ人工林における浸透能とその低下プロセスを正確に評価できる可能性が示された.
  • 渡邉 浩, 虫明 功臣
    原稿種別: 原著論文
    2008 年 21 巻 6 号 p. 449-458
    発行日: 2008/11/05
    公開日: 2008/12/04
    ジャーナル フリー
    第一報で,事前に下流基準点の正常流量と予測流量を比較し,その上で適時適量のダム操作を行えば現実の運用以上に効率的な水資源の低水管理が可能であることを示した.この方法は一年を通した目標貯水量のもとで実施すれば,さらに効率的な低水管理が可能である.わが国では春先の河川流出が大きいので,一年を通した目標貯水量が春先の貯水回復期までに必要な貯水量として設定することができる.そこで,1/10渇水を前提とした計画通りの運用を続ける時の目標貯水量のほかに,豊水年を想定してダム下流への放流量を義務量以上にして運用する時の目標貯水量や,渇水年を想定して取水量を計画値より減じて運用する時の目標貯水量などを複数のシナリオとして設定する.そして,現在貯水量が目標貯水量の直近上位に位置する最適なシナリオを選択し,翌日のダム運用をこのシナリオに沿って実施する方法を提案した.これを基に,現実に行われたダム操作の修正を試算し, この方法が有効かつ実現可能であることを検証した.
研究ノート
  • 石原 幸司, 仲江川 敏之
    原稿種別: 研究ノート
    2008 年 21 巻 6 号 p. 459-463
    発行日: 2008/11/05
    公開日: 2008/12/04
    ジャーナル フリー
    ノンパラメトリック手法を用いて,気象庁の全国51観測地点における1901~2006年の年最大日降水量データから100年確率値を求め,従来手法による確率値と比較した.その結果,各地点における両確率値の相関係数は0.98,両者の比は51地点平均で1.03と,ほぼ同等の値が得られることが分かった.しかし,過去に極端な値が出現した地点では,ノンパラメトリック手法による確率値の方が上方に引きずられる傾向が見られた.一方,Bootstrap法による多数回のリサンプリングによって求められた標準偏差は,過去の極端な観測値と高相関であることから,ノンパラメトリック手法によって得られた確率値の不確実性を表す指標として有効である.
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