2012 年 25 巻 4 号 p. 214-225
スリランカにおけるパン蒸発量の長期変動とその要因を考察するため,パン蒸発量と関係する複数の気象要素についてトレンド解析を行った.その結果,1951-1973 年,1974-1993 年の両期間で気候帯によらずパン蒸発量が減少したことが分かった.さらに,(1)スリランカ周辺域のOLR減少,(2)湿潤条件下でのパン蒸発量減少,(3)日照時間の減少,(4)高温下ではPenman式の放射項の寄与が大きいこと,の4点から,少なくとも1974-1993年においては,雲量の増加に伴う日射量の減少がパン蒸発量減少の主因であると結論づけた.