水文・水資源学会誌
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技術・調査報告
イランの水資源を取り巻く課題について
山田 拓也
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2019 年 32 巻 5 号 p. 255-262

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抄録

 イラン・イスラム共和国は中東の乾燥地帯及び半乾燥地域に位置している.1968年以降の降水統計を見ると,イラン全国の年平均降水量の過去50年間平均は,約248 mmである.しかしながら,年平均降水量は減少傾向を示しており,年平均降水量の近10年平均は約220 mmと,11 %程度減少している.これに伴い利用可能な水資源量も減少傾向にある.一方人口は増加の一途をたどり,1950年頃には3,000万人を下回っていた人口が2019年現在では約8,000万人を上回っている.加えて,都市化の進展や農業活動の活発化などにより水需要は著しく高まり,年間の水資源量のうち86 %を人間活動で使用しているなど,高度の水ストレス状態となっている.この結果,国内の様々な地域において恒常河川が間欠河川へと変化し,また社会活動における水の不足を補うために地下水位が継続的に低下している.このように,イランにおける水資源の管理に関する問題は,将来的なイランの社会経済活動の安定性や持続可能性に関わる非常に重要な問題となっている.本稿では,このようなイランの水資源管理が抱える課題について述べる.

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© 2019 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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