水文・水資源学会誌
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解説
社会水文学-その日本での展開に向けて-
中村 晋一郎木村 匡臣乃田 啓吾渡部 哲史西原 是良
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2020 年 33 巻 5 号 p. 203-211

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抄録

 人と水に関する新たな学問「社会水文学」(socio-hydrology)が提唱されて以降,人間-水システムの動態や共進化に関する研究が急速に進んでいる.本論では社会水文学の体系と研究の世界的動向を解説するとともに,それらを踏まえて,日本における社会水文学の展開の可能性と課題について考察を行った.社会水文学は,人間-水システムの相互作用の中に潜む「規則性」または「再帰性」を見出す実証的学問であり,「歴史社会水文学」,「比較社会水文学」,「帰納社会水文学」の3つの体系によって成り立っていることを研究事例とともに解説した.また,日本における社会水文研究の展開の可能性と課題として,①パラダイムシフト研究,②日本の蓄積の活用と学際的コミュニティの形成という2点を提示した.

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© 2020 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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