2001 年 14 巻 3 号 p. 239-245
1998年の航空機搭載型分光走査放射計 (AMSS) のデータで, (1) 積雪面の可視から近赤外へかけての急激な放射照度の減少, と (2) 植生面 (森林など) の近赤外短波での放射照度の立ち上がり, の両方を考慮できる積雪・植生指標が実際にどのようになるかを評価した.植生+積雪の混在条件下で従来の2波長帯 (NDVIなどと同じ) による指標と比べ, 3波長を使い前述 (1) + (2) の効果を反映した指標のほうが植生密度 (PAI : 樹体面積指数) により敏感であり, 林床の積雪に影響されず植生被覆の状態をとらえることが出来た.
また, 0.9μmより短波長側における反射率のスペクトルは, 植生による0.7μm付近の立ち上がりを良く捕らえていることも確かめられた.さらに, 植生+積雪の条件下でPAIを忠実に推定できるS3を使って積雪のみと森林域を分類し, いくつかの波長帯における反射率が観測角度によりどの程度変化するかを見積もったところ, 積雪面は前方散乱が強く森林域では等方的, とセンサ操作角は±35度と小さいにもかかわらずBRDF的特性がかなり現れていることがわかった.ただし, 波長ごとのBRDF特性は相似であり, 指標への影響は小さい.