寒冷都市の水が持つ熱エネルギーの評価とその利用の可能性の検討を,札幌市を例に行った.まず,河川水・地下水・水道水・下水の月別熱賦存量を算出し,下水についてはその排熱分布図を作成し,さらに上下水道系の熱エネルギーフローを推定することによって,都市内での水が持つ熱エネルギーの賦存状況を明らかにした.次いで,水の熱利用形態に応じ熱源としての利用可能性の検討を行った.以上のエンタルピー的評価に加え,熱力学に基づく評価指標を用いた質的評価も行なった.これらの検討の結果,下水処理場の排熱が最も有望であることがわかった.最後に,広域熱供給に下水処理場排熱を利用した場合,得られる1次エネルギー削減量を地域毎に算定し,その分布図を作成した.