水文・水資源学会誌
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水文サイクルを考慮した簡易気候モデルによる気候の安定性
スイルダー クリストフ佐渡 公明ロゾウスキー エドワード
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1996 年 9 巻 1 号 p. 68-76

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抄録
気候変動についての時間的変化あるいは平衡状態におよぼす,大気中の水文サイクル成分(蒸発,凝結,降水)の影響を調べるために,大気・海洋気候ボックスモデルを用いる.このモデルは,大気と海洋のエネルギー収支および大気中の水文サイクルの水収支を表す合計3個の非線形常微分方程式から成る.本モデルにおいては,エネルギーは海洋,大気,宇宙の相互の間で短波・長波放射および顕熱・潜熱フラックスによって交換される.大気水収支の式は,海面蒸発量と降水量の関数として,雲水量の変化を表している.本モデルはまた,雪氷アルベドフィードバックと水蒸気フィードバックをシミュレートする.雲のフィードバック効果により,高温で降水量が多い場合と低温で降水量が少ない場合の複数の気候平衡状態が発生し,また気象要素の自由振動が現在の平衡状態の周りに発生することが得られる.現在の平衡状態は,安定または不安定な他の平衡状態と共存できる.
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