2020 年 8 巻 2 号 p. 129-131
かぜ症候群は上気道に急性炎症をきたす疾患であり,鼻漏や鼻閉などの鼻症状や咽頭痛を呈するため耳鼻咽喉科を受診する機会が多い.かぜ症候群は予後が良好な疾患として広く知られており,医療従事者を含めて軽視されがちな疾患である.しかし,症候学的見地から見ると鼻症状や咽頭痛,頭痛,発熱,全身倦怠感といった症状には重症化する疾患が数多く潜んでいる.また,高齢者や基礎疾患を有する患者では,ウイルス感染によるかぜ症候群から重症感染症に移行する可能性がある.超高齢化社会を迎えた本邦において,外来では健康に見える高齢者でも実際には予備力が低下しており,軽微な感染症によってパフォーマンスステイタスが不可逆的に低下する症例をしばしば経験する.本稿では,高齢者や基礎疾患を有しているハイリスク患者の“かぜ”症状に焦点をあて,ハイリスクの定義およびかぜ症候群と鑑別を要する疾患について概説する.