2020 年 8 巻 2 号 p. 132-137
成人の多くが罹患する「かぜ」は,適切な対症療法で自然治癒を期待できるウイルス感染による「かぜ」症候群と推察される.しかしながら,典型的な「かぜ」と思われる症例に対して治療を行うも,改善が乏しい,もしくは当初と異なった症状が遷延するなどの症例を経験することは少なくない.その際には,単純な「かぜ」症候群ではなく鑑別を要する別の疾患の可能性や,「かぜ」症状を契機として他の疾患を発症した可能性を考え,適切な対応をする必要がある.妊婦や授乳婦が「かぜ」症状を呈した際には,妊娠・出産に伴う身体的変化が起こることで,非妊娠成人と比較して重篤化しやすい疾患があることを知っておく必要がある.また,医薬品の服用による児への影響および母体への有益性などについて熟知した上で,罹病や投薬に不安を強く持っている母親に共感および適切な配慮を行い診療に臨むことが必要である.