福岡県朝倉市を流れる黄金川は,環境省レッドリスト絶滅危惧I類スイゼンジノリの唯一の自生地であるが,近年,流量(湧水量)が減少したことにより,その生産量が減少している。本研究では,文献調査などにより黄金川流量の歴史的変遷を整理することで,流量減少の原因を探った。さらに,今後の保全対策の一案として,上流農地からの排水を黄金川へ導水することの可否について検討した。その結果,過去の圃場整備にともなう水路系統や土地利用の変化が,黄金川流量に影響したことが示唆された。また,上流農地からの排水と黄金川では水温に大きな差があり,排水を黄金川に直接導水した場合にはスイゼンジノリの生育に影響する可能性が高いことを示した。