再生可能エネルギーによる電力供給量の増加を目的として,従来よりも高額な固定価格買取制度が導入され,小水力の分野が注目を集めている。再生可能エネルギー利用推進の本質は資源の有効利用であり,適材適所をベースとして無駄のない地域資源の有効利用の仕組みを地域が創出することにある。本報では,地域住民が主体となって導入した小水力発電システムの設置事例を紹介する。本事例で重要な点は,システム導入に当たり補助金などの公的資金を直接利用していない点である。集落単位で合意形成を図り,地域独自の財源で資金を賄ってきた。また,計画立案当初から売電を目標とせず,電力の地産地消を念頭に置いた直接消費型の電源システムを目標とした。