農業水利施設は,食料供給の基盤であるのみならず,地域排水などに寄与しているが,電気料金の値上げや施設の老朽化などによる維持管理費の増大により,施設の適正な管理が困難となってきている。農業用水路の落差などを活用した小水力等発電の導入により,農業水利施設で消費する電力の供給や売電収入による維持管理費の軽減が可能となり,さらに,CO2排出量の削減にもつながり,地球温暖化防止対策に有効な手段として期待されている。本報では,近年の小水力発電を巡る情勢,農業農村整備事業による小水力発電の導入状況,小水力発電の導入効果や国営事業により小水力発電を導入した具体的な事例を紹介する。