鳥獣害対策として捕獲したシカやイノシシを食肉(ジビエ)等に利用して地域振興を図る取組みが行われているが,実態や効果には不明な点が多い。そこで行政による事業推進や企業の参入等から現状分析したところ,全国で約700のジビエ処理施設が設置され,肉を増産し,都市でもジビエが一般化しつつあることがわかった。しかし,CSF(豚熱)発生や担い手不足,残渣の処分経費など,ジビエ等利用による地域振興には多くの課題が存在することが明らかとなった。今後はICTなどの新技術を導入して鳥獣害対策の省力化や効率化を進めるとともに,農村と都市の交流による関係人口を増やしながら人材を確保・育成することが課題解決に有効と考えられる。