越水保護工の導入により斜面侵食と洗掘を確実に防ぐことができれば,ため池堤体の安全性を確保しながら洪水流を流下させることができる。現行の洪水吐の能力を上回る洪水流量分だけを流下させるとすれば,越水保護工は補助洪水吐の役割を担うことになる。いずれにしろ越水保護工の導入により,ため池堤体の豪雨耐性を確保しうるハード対策の一つが実現できる。2014年に公表された米国FEMAによる技術マニュアルをもとに,土質堤体を対象に開発・適用されてきた越水保護工の工種,ならびに設計・解析と建設における技術的考慮事項を紹介した。ため池堤体に好適な工種として,主にガビオンおよびRCC(転圧コンクリート)を取り上げた。