抄録
現在,地域連携に取り組む理工系大学は,地域産業界とどのような関係を築いていくかに大きな関心を払っている.本稿では,地域連携の成立条件とその展開方向を探るため,1970年代における「夜学」と地域産業界の協働実践に焦点を当てて,その現代的意義を検証した.その結果,「夜学」は勤労者の高等教育機関として地域社会に認知されるため,地域産業界と協力して学生教育に取り組んでいたこと,また,このような協働実践は地域経済発展の重要な要素として機能していたことが明らかになった.今後,地域連携に大学が取り組む上で,学生教育に着目した地域協働事業の推進が有効な方策になりうると考えられた.