産学連携学
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5 巻, 1 号
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特集 イノベーションシステムを支える中小企業の産学連携(その2)
  • ――大分大学の共同研究事例を基に――
    伊藤 正実
    2008 年 5 巻 1 号 p. 1_1-1_7
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    地方大学における産学官連携活動の構造を明らかにすることを目的に,平成19年度の大分大学の共同研究を分析した.その結果,大分県内の主たる対象は中小企業であり,直接大学研究室のメインストリームのテーマと関連性のない,ニーズプル型の共同研究が中心であり,県外については,対象は主に大企業であり,研究室のメインストリームのテーマと関連性がある共同研究が比較的多くなされている傾向を示した.これらの結果に基づき,地域の中小企業を対象とする産学連携を進める上での一般的な制約条件について提示した.
  • ~知的クラスター・都市エリアに見られる特徴から~
    荒磯 恒久
    2008 年 5 巻 1 号 p. 1_8-1_16
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    地域イノベーションシステムの中で,ベンチャー企業と地域中小企業は地域が有する技術シーズを独自の産業技術として確立・確保し,研究者と一体となってシステムの中核を形成する役割を持つ.これら地域企業の発展のためには,大学・研究機関とともに,地方自治体・公設試・地域科学技術財団が強力なネットワークを持つことが必須である.また,地域イノベーションはその発展に伴い,地域外企業と連携して全国・国際的展開を図る必要があり,地域発展と調和した知財戦略を持たなければならない.
  • 藤原 貴典, 東 英男
    2008 年 5 巻 1 号 p. 1_17-1_24
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本論文では,岡山地域における中小企業の産学連携状況を概観した.中小企業は自ら抱える課題解決に大学を活用することでイノベーションを実現できる.このような視点から,主に技術的側面で行われた具体例を紹介するとともに,類型を整理した.まず共同研究については,地域資源活用型,共同研究成果である製品の販売市場開拓におけるプラットフォーム財団活用型,研究スタートにおける仲介機能を金融機関が果たす産学金連携型の事例を述べた.つづいて,行政の中小企業に対する販路開拓支援,TLO活用による新規製品開発,学会賞受賞による企業ブランド力向上について,実例に基づいて述べた.そして,地域中小企業との産学連携においては,連携研究の入り口としてのシーズ情報提供と同様に出口支援である販路開拓が重大な要因であることを示した.
  • 山口 佳和
    2008 年 5 巻 1 号 p. 1_25-1_36
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では,中小企業白書を分析し,その分析結果に基づいて,中小企業分野における産学連携関連施策がどのように変遷してきたかを考察した.その結果,産学連携関連施策が活発化するのは1995年の科学技術基本法制定と1996年の第1期科学技術基本計画策定,1999年の中小企業基本法改正の2つの転換点があったことが分かった.今後の課題としては,中小企業分野における産学連携関連施策の成否や評価について分析し,成功と不成功の要因,期待される産学連携関連施策のあり方について研究することが必要である.
論文
  • ――山形大学工業短期大学部の事例――
    早尻 正宏, 高橋 幸司
    2008 年 5 巻 1 号 p. 1_37-1_45
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    現在,地域連携に取り組む理工系大学は,地域産業界とどのような関係を築いていくかに大きな関心を払っている.本稿では,地域連携の成立条件とその展開方向を探るため,1970年代における「夜学」と地域産業界の協働実践に焦点を当てて,その現代的意義を検証した.その結果,「夜学」は勤労者の高等教育機関として地域社会に認知されるため,地域産業界と協力して学生教育に取り組んでいたこと,また,このような協働実践は地域経済発展の重要な要素として機能していたことが明らかになった.今後,地域連携に大学が取り組む上で,学生教育に着目した地域協働事業の推進が有効な方策になりうると考えられた.
  • 新谷 由紀子, 菊本 虔
    2008 年 5 巻 1 号 p. 1_46-1_55
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    大学における利益相反問題を中心とした倫理問題に関する事件を過去約10年間の新聞報道から抽出し,その特色や傾向を分析した結果,医学部を中心とした寄付金や兼業等,産学連携に関連した問題が特に多く出現していることが判明した.また,こうした主要な利益相反問題に関して,全国の大学教員と国立大学法人の経営協議会委員の外部有識者に対する意識調査を実施した.この結果,臨床研究等において利害関係者からの未公開株式取得や兼業等による個人的利益の受領は避けるべきであるという回答が最も多く,寄付金,共同研究費・受託研究費は条件付きで認めるという結果となった.これは,これまでの政府等が示してきたガイドラインに比較して厳しいものであり,今後,各大学で利益相反ポリシーを策定する際の重要な基礎データを提供するものとなった.
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